Appleの元社員が退職後も個人iCloudアカウント経由で社外秘ファイルにアクセスできていた問題が明らかになりました。同社がOpenAIと元社員に対して提起した訴訟を機に、iCloudのファイル共有仕様に潜むセキュリティ上の隙間が浮かび上がっています。
個人アカウントと仕事アカウントの混在が原因
Appleは社員に2TBのiCloudストレージを支給し、個人のApple IDと統合することを推奨していました。iPhoneではプライマリのApple IDを1つしか設定できないため、多くの社員が仕事用と個人用のアカウントを分けず、既存の個人アカウントに社内ストレージを統合しました。
その結果、PagesやKeynoteで共有された社内文書が個人の写真やファイルと混在する状態が生まれました。2010年代後半にApple Workフォルダーが導入され、退職時にアクセス権が剥奪される仕組みが整えられましたが、同フォルダ外で共有されたファイルは対象外でした。
また2019年頃にSlackを導入するまで、社内コミュニケーションにはiMessageが広く使われており、退職後も過去の会話や添付ファイルが残り続けるケースがありました。
OpenAI訴訟とiCloud問題は別件とApple主張
7月10日にAppleがOpenAIと元社員Chang Liu、Tang Tanに対して提起した訴訟では、Liuが稀少な認証バグを悪用して社内ネットワークに侵入し、数十件の機密ハードウェアファイルをダウンロードしたと主張しています。Tanは退職前に機密文書を自身にメール送信したとされています。
Appleは本件がiCloudに残存したファイルとは無関係であると明言しています。同社は個人のiCloudにApple文書が誤って残ってしまった元社員に対しては法的措置を取らない方針を示しました。
過去の訴訟でも退職者管理が争点に
iCloud経由のファイル残存をめぐっては過去にも法的紛争が起きています。半導体企業Rivosとの係争では、Appleが意図的に元社員にファイルへのアクセスを残し、訴訟の口実作りをしていると反訴されました。
プロセッサ企業Nuviaを起業したGerard Williamsに対する訴訟では、Williams側が退職を考えている社員を威圧する手法だと主張しましたが、裁判所はこの主張を退けました。2025年には元Vision ProエンジニアのDi Liuが退職直前に数千件の社内文書を個人クラウドにダウンロードしたとして提訴されています。
出典: AppleInsider — Confidential Apple files followed former employees to OpenAI through iCloud / MacRumors — Apple's iCloud File Sharing Left Ex-Employees With Access to Secret Documents


